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合議政プルートリークス

概要

氷海に存在し、最寄りの陸地(プルクーラ本土)までは千キロ近い距離を数える孤立した火山島群に存在する天使(翼人)による合議制の共和国。

地理

極めて高緯度に存在する氷雪の地であるが、活発な火山活動により島の各地にオアシス的なホットスポットとして常春の地が散在しており、島全体としても緯度の割には比較的温暖である。
沿岸部は火山活動が相対的に弱いために氷原や雪原が多いが、ある程度内陸部にはホットスポットによる緑の地が展開し、さらに内陸の高地は再び氷河が支配する特徴的な地勢を持つ。
内陸部や周辺島嶼の特に大きなホットスポットには冷帯林が広がり、ところによっては温帯にすら分類される部分も一定程度あるが、いずれにしても夏は短い。

アルニーヴェル

事実上のプルートリークス首都。全島集会が開かれる。エリアごとに大学や市場などに分化しているが、輸送コストなどの問題から生産都市としての側面は弱く、製造業は出版などの一部産業が立地するにとどまる。

歴史

先史時代

伝承によればこの地は古代帝国が大地を操る術を研究していた実験場であり、経過観察のために天使が常駐して激しい火山活動などを記録し続けていたとされる。
機械文明の地質学者が島の沿岸部を調査した結果25000年±7000年前の時期に起こった大規模な火山活動によって諸島の大部分が形成されたと推測されている。
古代帝国の崩壊が近づく中で島も放棄されたが、天使の間では口伝として「最果ての火山島」の伝説は伝わり続けた。
その後、火山活動が穏やかになり内陸に緑の広がるようになっていたこの島々をある天使が再発見し、天使以外と接触せず生きることを望んだ内向的な天使たちが入植し、最初の全島集会を開いて島内における個々の領分を定めたと伝わっている。
以後一万年余りの間、天使たちは諸島に散らばってそれぞれが小家族的な共同体のなかで暮らし、緩慢に数を増やしていったとされる。

有史時代

しかし天使が増えたために千数百年ほど前から小家族ごとの境界の争いが散発するようになり、さらには小家族的な共同体の生活からの独立を望む者たちによって一部の集落が都市化していったため、全島の利害を調整するために定期的な全島集会の開催と文字化された議事録の記録が行われるようになった。
氷海を調査中に難破したアレイルークス船の漂着を契機に外部との接触を本格化させつつある。

政治

天使たちによる合議制であり、各家庭ごとに選出された家長が一年のうち最も温暖な時期にアルニーヴェルに集まり全島集会を開く。
島全体の元首として、全島集会において蓄積された慣習に最も詳しい者が集会の議事進行をつかさどる「宣法者」がいる。
各地域共同体ごとに社会制度が整備されているが、全島規模の組織は全島集会以外にはあまり存在しない。

経済

アルニーヴェルを中心に島内市場は一定程度形成されている。大陸との交易は必ずしも活発ではないが、一応細々と行われてはいる。

農業

火山性でやせた土壌、過海洋性で冷涼な気候、少ない日照、短い夏などから、農業には不向きな土地であり、大陸本土に比べ生産性でやや劣る。

林業

永久凍土になっていない地域では一定程度森林が育っている。ただし天使は重労働にあまり向いていないので主産業というほどではない。

鉱業

魔石が豊富に採掘される。白金族金属なども存在が確認されている。

製造業

製造業の拠点は原料としての鉱山やエネルギー源としての火山の近くに存在する。

商業

アルニーヴェルで全島集会のたびに開かれた定期市が現在では常設化しており、プルートリークス天使は自分の地域共同体で手に入らないものがあればそこに出向き取引を行う。
一方で職業的な専門分化はあまり行われておらず、大陸などとの遠隔地貿易に従事する商人以外は基本的に職人を兼ねる。

教育

少年期のうちに各地域共同体ごとの私塾で読み書き計算と魔法の基礎を学び、その後しばらくは家庭で家業を手伝うか、他家に奉公に出される。
「一人前」とみなされた後にプルートリークス大学で高等教育を受けるが、何を以て一人前とするかはかなり多様であり、私塾を出た直後に大学に進学する場合もあれば妻子を持ち子供を育て上げた後にようやく大学に進む場合すらある。

技術

火と氷の土地に適応した魔法技術を有し、フローディア科学で言うところの熱力学と流体力学、伝熱工学について優れた知見を持つ。

国民

基本的に天使(翼人)しかいない。外部からの訪問者を明確に締め出す規則はないが、内陸部の農民たちは概してよそ者の定住を拒む傾向にあり、実態として対外通商は沿岸部とアルニーヴェルに限られる。

プルートリークス天使

古代帝国における命令伝達を担っていた種族に由来するとされる種族。プルートリークスは住民のほとんどが天使から構成される。
プルクーラ大陸本土に存在する天使や翼人と同系と思われるが、彼らと異なり他者への警戒心が強く、孤立して小家族的な生活を営むことを好む。

軍事

常備軍は存在しない。しかし各家庭は主に狩猟を目的として魔法戦闘の能力を保有しており、他国からの侵攻を受ければ臨時の全島集会が開かれ動員がかけられるということになっている。